メールマーケティングは、それ自体が複雑な領域です。誰に送るべきか、何を書くべきか、どの程度の頻度が適切かなど、悩みは尽きません。メールキャンペーンの運用に関するアドバイスをご希望の方は、ぜひ弊社の、メール マーケティングに関するブログ記事をご覧ください。
すでにメールマーケティングを始めることを決め、使用するプラットフォームも選定済みであれば、次のステップは配信リストの構築です。既に数百、あるいは数千件の連絡先データベースをお持ちかもしれませんが、それらすべてをそのままメール配信リストにインポートすることはできません。
たとえ長年取引のある顧客であっても、マーケティングメールを受け取るためには明確な同意(オプトイン)が必要です。この「オプトイン」は、受信者が自らの意思でメール配信を希望することを意味します。
メールマーケティングの信頼性と法令遵守の観点からも、オプトインの取得は非常に重要です。
オプトインを取得するには?
オプトインを取得するための最初のステップとして、既存の連絡先に個別のメールを送信することをおすすめします。そのメールには、ホスト型のオプトインフォームへのリンクを含めましょう。このようなフォームは、皆さまもこれまでに何度も入力されたことがあるかと思います。現在のデジタル環境では、非常に一般的な手法です。ただし、すべての方がフォームに入力してくれるわけではありません。実際には、メール配信リストが連絡先リストのごく一部にとどまることもあります。
ご心配には及びません。すべての方がメールニュースレターで情報を得ているわけではなく、他の連絡手段を好む方もいらっしゃいます。
特に重要な見込み顧客や既存の主要顧客には、パーソナライズされたメッセージを送ることを強く推奨します。テンプレートをコピー&ペーストしただけの一般的な文面よりも、個別対応の方がオプトインを得られる可能性が高まります。
数千件の連絡先すべてに個別対応するのは現実的ではありませんが、まずは上位50件ほどから始めてみるのが良いでしょう。
この作業は、営業担当者が移動中や出張先のホテルでの空き時間に行うのにも適しています。数日後にフォローアップメールを送るのも効果的ですが、スパムにならないよう注意が必要です。
もし貴社が新しい企業で、まだ連絡先がない場合は、リストのレンタルを検討されるかもしれません。ただし、メールマーケティングプラットフォームの利用規約を必ずご確認ください。
一部のプラットフォームでは、高いバウンス率や解除率のリスクがあるため、レンタルリストの使用を禁止している場合があります。
レンタルリストは一時的な効果があるかもしれませんが、期待するほどターゲットが絞られていないことも多く、ゼロからリストを構築する方が効果的な場合もあります。
オプトインの同意取得について
オプトインの取得には、明示的な同意を得ることについて触れましたが、その意味についてお話ししましょう。多くのメールマーケティングプラットフォームでは、同意の取得が記録可能であることが求められます。つまり、連絡先がオプトインフォームに入力し、購読を確認し、電子的にメール受信に同意したという履歴が残る必要があります。
この同意には、日時や対象者の情報が確認可能であることが含まれます。
たとえば、展示会に参加して複数のブースを訪問し、名刺交換をしたとします。メールアドレスを入手したので、すぐにメールを送っても良いと思われるかもしれません。
しかし、たとえ口頭で「メーリングリストに追加してもいいですよ」と言われたとしても、メールマーケティングプラットフォームを通じて配信することは避けるべきです。
なぜか?その同意は記録可能でないからです。同意があったことを、後から証明する手段がなく、プラットフォーム側でも、受信者側でも問題が生じる可能性があります。
展示会終了後には、名刺交換をした方々に対して、個人の業務用メールアドレスから直接メールを送信し、オプトインフォームへの入力をお願いするのが適切です。
メール本文にフォームへのリンクを記載するだけで構いません。この時点では、メールマーケティングプラットフォームを使った一斉配信は行わず、個別メールでの案内が必要です。
展示会などで名刺交換をした相手には、展示会後に自分の業務用メールアドレスから個別にメールを送り、メーリングリストへの登録をお願いすることができます。メール本文にオプトインフォームへのリンクを記載し、登録を促します。
出展者の場合、もう一つの方法として、ブースにタブレットを用意してオプトインフォームを表示しておくことが考えられます。見込み顧客や既存顧客がブースを訪れた際に、タブレットを手渡してフォームの入力を勧めることができます。対面でのやり取りをしている相手は、いわゆる「ホットリード」に近く、その場でフォームに記入してくれる可能性が高くなります。製品情報を説明している間に記入してもらえるため、相手にとっても負担が少なく、後日改めてメールで依頼する手間も省けます。時間が経つとリードの温度感が下がってしまうため、現場での対応が効果的です。
営業担当者の中には、営業訪問や顧客との会食の際に、スマートフォンにオプトインフォームを表示できるように準備している人もいます。タイミングを見て、その場で同意を得ることで、より効果的に登録を促すことができます。
オプトインフォームに必要な項目とは?
オプトインフォームは、法令に準拠したメール配信リストを構築するために必要なものです。多くのメールマーケティングプラットフォームには、オプトインフォームを作成する機能が含まれています。
一般的には、氏名、メールアドレス、会社名、電話番号、住所などの項目が含まれます。フォームの送信前には、マーケティングメールの受信に同意する旨のチェックボックスにチェックを入れる必要があります。送信後は、同意の日時や内容がメールマーケティングプラットフォーム上で記録・管理されます。

さらに慎重を期したい場合は、ダブルオプトインの設定も可能です。これは、フォームに入力して送信した後、すぐに確認メールが届き、そのメール内のリンクをクリックして購読を確定する仕組みです。確認が行われるまでは、配信リストに追加されません。第三者が勝手にフォームを入力することを防ぐためのセキュリティ対策であり、メールアドレスの有効性を確認する意味でも有効です。
オプトイン後でも、配信を希望しなくなる人もいます。多くのメールマーケティングプラットフォームでは、配信メールのフッターに自動的に配信停止ボタンが挿入されますが、念のため確認しておくと安心です。誰かが配信停止を選んでも、あまり気にしすぎる必要はありません。部署が変わったり、業界を離れたり、別の連絡手段を好むようになっただけかもしれません。メールリストの自然な整理と考えるとよいでしょう。
なお、配信停止された場合でも、連絡先情報はCRMに残っていますので、必要に応じて業務用メールアドレスから個別に連絡を取ることは可能です。
オプトインは必要か?
メール配信リストを構築する際には、使用するメールマーケティングプラットフォームの規約と、事業を展開している国の法律の両方に準拠していることが重要です。プラットフォームごとに規定は異なるため、利用規約を確認し、必要な条件を把握しておきましょう。
多くの国では、スパム防止やプライバシー保護に関する法律が整備されており、メールマーケティングに関する規制が設けられています。以下に、特に注意すべきポイントをいくつか紹介します。なお、国によって違反時の罰則の重さは異なるため、自社に適用される法律について理解しておくことが大切です。
米国
カリフォルニア州ではCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)」に準拠する必要があり、ユーザーがいつでも配信停止できるようにしておくことが求められます。
米国では、CAN-SPAM法により、すべての商業メールに配信停止の選択肢を明示することが義務付けられています。受信者が配信停止を希望した場合は、10営業日以内に対応する必要があります。CAN-SPAM法の詳細はこちらをご覧ください。配信リストには、最新のプロジェクトや製品情報を楽しみにしている人だけが含まれている状態が理想です。「このリストから外してください」「配信停止にしてください」といった返信が頻繁に届くようであれば、リストの見直しが必要かもしれません。
EU
ヨーロッパでは、メールマーケティングに関する規制がより厳しくなります。GDPRの(一般データ保護規則)では、明確なオプトインによる同意がない限り、誰にもメールを送信することはできません。たとえ個人的な知り合いであっても、GDPRに準拠したオプトインフォームを通じて同意を得ていない限り、その人のメールアドレスを配信リストに追加することはできません。
自社がヨーロッパに拠点を置いていない場合でも、このルールに従うことは良いビジネス習慣といえます。なぜなら、配信リストに含まれるのが、自社に関心を持ち、自ら情報を求めてきた人々であることが保証されるからです。こうした人々は、メールを受け取ることに同意しており、内容にも関心を持っています。
このようなリストは、バウンス率や配信停止率を下げる効果があり、結果としてエンゲージメントが高まり、分析結果も良好になります。
日本
日本では、「特定商取引法」および「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(いわゆる迷惑メール防止法)」により、商業目的のメール送信には事前の同意(オプトイン)が必要とされています。
同意の取得は記録可能である必要があり、メール送信後も一定期間その記録を保持する義務があります。また、「個人情報保護法(APPI)」では、個人情報を新たな目的で利用する際には、本人の明確な同意が必要とされています。マーケティング目的でメールアドレスを使用する場合も、同様に記録可能な形で同意を得る必要があります。
その他の国々
多くの国では、ヨーロッパのGDPRに類似したスパム防止法が整備されています。カナダではCASL、オーストラリアにはSpam Regulations、があります。イギリスでは、EU離脱後に独自のUK-GDPRが制定されました。世界各国で、不要なスパムメールから消費者を保護するための法律が次々と制定されています。罰金や迷惑メールフォルダへの振り分けを避けるためにも、顧客がオプトインしていることを確認することがこれまで以上に重要になっています。
自社が所在する国の法律と、使用しているメールマーケティングプラットフォームの規約の両方を遵守するようにしましょう。オプトインフォームを作成し、配信停止の手続きが簡単かつ明確であることも確認してください。
法令遵守だけでなく、これは良いビジネス習慣でもあります。現在のように受信箱があふれている時代では、望まれていないマーケティングメールは不快に思われることが多く、肝心のメッセージが読まれないまま、企業に対する印象が悪くなってしまうこともあります。
さらに、現在のバイオプロセス関連企業の多くは、製品やサービスをグローバルに展開しています。各国の規制に合わせてメールマーケティング戦略を調整しながら営業活動を行うのは、非常に負担の大きい作業です。
そのため、最もシンプルで確実な方法として、すべての国の連絡先に対して、電子的に記録可能なオプトインを取得することをおすすめします。リストの件数は減るかもしれませんが、メールに適した質の高い見込み顧客が基盤となり、他のマーケティングチャネルを活用して、残りのリストとも継続的に関係を築いていくことができます。
これで、グローバルに対応したメール配信リストの構築が始まりました。